「東アフリカ牧畜民が紛争時に持って避難するもの」湖中 真哉

調査テーマ:アフリカ牧畜社会における国内避難民の物質文化とノン・フードアイテム

調査地:東アフリカ(調査対象者への配慮のため明示しない)

*この報告では、劣悪な統治に苦しみ、深刻な人権侵害を受けている人々を対象としているため、彼らに及ぼす影響に配慮して、民族名、国名等については、あえて示しておりません。ご理解をお願い致します。

調査成果:
2016年の3月に、東アフリカ遊牧社会の国内避難民が居住する3箇所の調査地を点点として、紛争被害にあった遊牧民がどのようなものを持って避難するのかをおもな調査テーマとして調査研究を行った。

民族集団Aにおいては紛争避難の際に家畜の乳容器、家畜の皮、椅子が優先的に持ち出されるが、全てのものではなく、割礼儀礼において使用したものだけが選ばれて持ちだされていることが判明した。これらのものは、その持ち主の人格と同一化しており、持ち主が死亡した際には、これらのものも破棄される。また、身体と密接な関係があり、身体の一部と考えられている。

また、紛争避難の際に老人、障がい者、子どもを残したまま避難することは罪と考えられている。犬についても子犬を残して避難することは罪と考えられている。民族集団Aにとって、子どもは大人の身体の一部、犬は人間の眼であり、いずれも身体の一部と考えられている。

民族集団Dも基本的には民族集団Aと同一の文化を持つが、より社会変化が進んだ結果、既に保有されていない家畜の乳容器、家畜の皮、椅子などは持参されない。

民族集団Cは、民族集団Aや民族集団Dと紛争避難の際に持ち出すものが異なっている。さらに避難の際に持ち出されるものはセット化されていて、常に一箇所に置かれている点も、両民族集団とは異なっている。

また、2014年以降、民族集団Aの居住地では、 エルニーニョ/ラニーニャ現象の影響によるものなのか、国際機関等によって指摘されている気候変動の影響なのか、降雨パターンが変化し始めている可能性があり、牧畜世帯は、家畜薬の集中的投与とウシ牧畜からヤギ・ヒツジ牧畜への移行により、これに対応している。また、この気候の変化を、民族集団Aは、「太陽が近くなった」と知覚していることが判明した。

この降雨パターンの変化が、長期的は変化なのか、一時的な変化なのか、引き続き注視していきたい。

赤十字支援のテントでつくられたヤギ・ヒツジ用の日よけ

赤十字支援のテントでつくられたヤギ・ヒツジ用の日よけ

国内避難民の世帯

国内避難民の世帯

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